籠の鳥 ブログ

これは鳥かごから脱出するための日常の、あるコトないコトをつづった妄想日記である。

ずっと前から変でした


ある時

0が9の前に現れた

じきに9は0といるのが好きになった

0が話し相手になってくれるから

0に会う前、9はノートがお話し相手

人間で相手になる人はいなかった

Dじゃ9の話し相手にならんし、子も9の話し相手にはならん

ママ友みたいな人たちも話題が違いすぎて9の話し相手にはならん

これまで9はいろんな人に囲まれてはいるけど孤独だった

視線をそらさずに対等に話せる人がずっと欲しかった

このままそういう人間と会うこともなく人生って終わっていくのかなって思っていた時0と会った

0とは年齢も性別も違うけど話していると心が安らいだ

いつしか0が9の心の中に住むようになった

偶然だと思うけど0は9の心の鍵をいくつも持っていた

話しているうちに一つ一つそのことがわかってくるのが面白かった

9は人知れず自分の中で0と向かい合う活動に取り組んだ

0と向かい合うことは修行に等しかった

どんなことも0を目標に頑張った

0に近づきたかった

でもこんなことを考えていることは決して0には言えない

秘密だ


決して言うことのない秘密だけれど0が9の前からいなくなってしまうとわかった時から9の涙が止まらない

このままずっと9の秘密なんかには気づかれないままずっと続いたらいいのに

だけど0はいなくなる

そうだ本を書こう。それが0が9に残してくれた遺産

0に会った時からうすうす気づいていた

0と会ったことをきっかけに自分が何か書くようになるだろうことを

本は書く。いる間にどんどん書く。だけどいなくなったら・・・

0もいないのに書けるかな

それにこれから誰が9の心の話し相手になってくれるだろう

0の話のセンスは絶妙だ

多くの人は0のそのたぐい希ない容姿のほうに気を取られるだろう

しかし9は0のその知性をより愛した

0の代わりはそこら辺にいそうで、しかしいない

0っていうのはこの世で天然記念物みたいな存在なんだ

そして9にとっては唯一無二の存在

そして9のこんな気持ちを上手に受け流してくれちゃう天才・・・

どうしてこんなすごい人が9の前に突然ぼっと現れたのかわからない

わからないけどすごい人に出会ちゃったんだ

だけど0にとって9は葉っぱの上の芋虫同然

0にとって9は害虫も同然

何も求められてないって・・・なんか気持ちは楽だけど泣けてくる

9は0のこと すごくほしいのに

やっぱりすごく泣ける

そーゆーゲテモノを見るような目でワタシを見るのやめてもらえませんか・・・

0のスペシャルな記憶に留まりたいとは思うけれど、きっと0はこっちの期待以上の、予想を大きく上回る範囲で9のことを忘れる

少し位覚えていてくれてもいいのにと思うけれど、たぶんぜんぶ忘れる。忘れちゃう・・・

でも0にとって私はそれぐらいの存在のほうがいいんだ。0が苦しまずにすむから

なんで0がいなくなっちゃうと思うだけでこんなに涙が溢れてきちゃうんだろう

涙が溢れてもう何にも書けない・・・

お別れは言いたくない

お店を辞めていっちゃうのに、これからもよろしくねっていうのもなんか変だ

このままがいい

このまんまずーっと

ここで9に0の相手をさせてほしい

9にとって0はマジ大切な存在

0の幸せになっていく姿を、成長していく姿を見守っていたい

はいずってる姿も、羽ばたいている姿も見守っていたい

9に許される形で応援していたい


注:このお話はフィクションです。登場する人物は実在する人物とは関係ありません。